第3回 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会

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会長挨拶

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会長挨拶

会長挨拶

第3回日本耳鼻咽喉科
免疫アレルギー感染症学会
総会・学術講演会

会長 保富 宗城
(和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科頭頸部外科学講座)

このたび,第3回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会を和歌山県立医科大学が主催させて戴くこととなりました。伝統ある本学会を主催させていただきますこと,大変光栄なことと,身の引き締まる思いです。本学会の前身である日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会ならびに日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会の歴代理事長ならびに本学会理事長,役員各位,そして会員の皆様に心よりお礼申し上げます。

 和歌山は医聖・華岡青洲が1804 年に世界に先駆け全身麻酔で乳癌手術を行った地であり,和歌山県立医科大学の建学理念は青洲の精神を受け継いでいます。また,本学の学章は,使用した麻酔薬「通仙散」の主成分である,曼陀羅華(マンダラゲ)をモチーフにしています。
 学会のテーマには,「内外合一・活物窮理」を掲げさせていただきました。青洲の医学に対する考え方を示す言葉です。内外合一とは,「外科を行うには,内科,すなわち患者さんの全身状態を詳しく診察して,十分に把握した上で治療すべきである」という意味です。活物窮理とは,「治療の対象は生きた人間であり,それぞれが異なる特質を持っている。そのため,人を治療するのであれば,人体についての基本理論を熟知した上で,深く観察して患者自身やその病の特質を究めなければならない」という教えです。

 本学の初代学長・古武彌四郎先生は,「本も読まなくてはならぬ。考えてもみねばならぬ。しかし,凡人は,働かなくてはならぬ。働くとは,天然に親しむことである。天然を見つめることである。かくして,天然が見えるようになる」と述べています。研究とは,よくわかっていない自然の事象を,楽しく勉強することであり,真実に限りなく近づくには,近道や王道はなく,普通の生活のように,楽しみ,親しみ,働く(勉強する)ことが大切であることを示しています。反面,漫然と無為にすごせば,何事もなし得ないとも言えます。誰もの可能性を述べた素晴らしい言葉と思います。

 本学会は,耳鼻咽喉科頭頸部外科領域の免疫・アレルギー・感染に関連する横断的な学術内容を,活発に議論する学術的な気風を醸成してきた学会です。今回,耳鼻咽喉科頭頸部外科の「内外合一・活物窮理」を目指すとともに,ぜひ若手の先生に基礎研究・臨床研究の楽しさを体験してもらい,親しむことで,ぜひこれから可能性にチャレンジしてほしいという思いを込めました。

 特別講演には,和歌山県立医科大学生体調節機構研究部・改正恒康教授に「樹状細胞サブセットによる免疫制御」のご講演を賜ります。また,塩野義製薬代表取締役・手代木功氏に,「我が国の感染症対策に向けた産官学連携の在り方について」のご講演をいただきます。
 シンポジウムには,「嗅覚研究の活物窮理」,「これからの,エアロゾル吸入療法!」,「感染・免疫研究の新潮流」,「新型コロナ感染症流行期のアレルギー診療」を企画しました。また,スイーツプログラムとして,「臨床から研究へ ダイバーシティな視点から臨床と研究を結ぶ」を企画しました。会長企画としては,「仮想現実(VR)に挑戦」,「感染症診断法の最前線」,「ミステリアスな扁桃にせまる」,「上咽頭擦過治療(EAT)の可能性」,「スポーツにおける感染対策と耳鼻咽喉科頭頸部外科」,「抗菌薬適正使用セミナー」を企画させていただいております。
 その他,Live 留学ほか多くの共催セミナーを予定しております。また,昨年好評であった初級者のための基礎研究セミナーを継続させて頂く予定です。ぜひ研究を始める先生方のステップアップにつながればと思います。
 学会期間中に,JIAIO3rd の夕べ「音楽は免疫力増進に貢献できるのか?」として,東京藝術大学名誉教授,英国王立音楽院名誉教授 澤 和樹先生によるバイオリンコンサートを企画しております。  基礎研究の感動と,アレルギー・感染症診療の奥深さを楽しんでいただければと思います。

 4月の和歌山は,過ごしやすい穏やかな季節です。桜鯛や鰹が美味しくなる時期です。また,白浜のパンダや世界遺産の熊野街道や高野山があります。学会からお帰りの際に足を延ばして頂くのも良いかもしれません。
 先生方と4 月に和歌山でお会いできることを心から楽しみにしております。